企業ロゴと企業体質は必ずしも合致しない。

今から二十年以上も前の話。
必要に迫られ、自宅近くの銀行に出向いた私は信じられない光景に遭遇する。
申込用紙の書き直しを命じられたのだ。
決して虚偽の書き込みをした訳ではない。
戸籍謄本に記載された通り、自分の名前を記載しただけだ。
ところが、その銀行はこうのたまう。
「印字不能なので書き直してください。」
印字不能なことは百も承知だ。
私の名前には人名用漢字が含まれており、しかも旧字体であることから通常のパソコンでは変換出来ないのだ。
当然、これまで利用してきた銀行では新字体で印字されていたし、それに対して異議を申し立てることもなかった。
だって、仕方のないことだもの。
けれど、書き直せと言われたら話は別。
銀行ともあろうものが、戸籍謄本通りの名前を受け付けられないというのか。
結局申込用紙の書き直しに応じたものの、程なく違う銀行に口座を開設。
本来利用する目的だった保険料の引落口座をそちらに変更した。
勿論、その銀行では「印字不能なので」と言われることはなく、黙って新字体で処理してくれた。
一方、パート先の都合で開設した違う銀行の口座。
例の如く「印字不能な」名前を見て、窓口の女性に言われた言葉が未だに忘れられない。
「当行では印字出来ませんが、新字体にて作成してもよろしいですか。それとも、肉筆で書いた方がよろしいですか。」
たまたま気の利く行員だったのだろう。
けれども、その一言があったお陰で私はその銀行が好きになったし、今現在もメインバンクとして利用している。

さて、色彩心理関係の本を読んでいると企業のロゴマークに用いられる色に着目した記述を見かけることが多い。
例えばロゴマークが赤なら赤が象徴するキーワードに着目、その企業がどういったイメージを前面に出しているかについて言及している訳だ。
特に大手の場合、意識的に色を取り入れているから企業理念も反映されている。
当然、金融機関も例外ではないから、イメージカラーを参考にして選ぶという手もある。
特に融資の相談をする際には重視したいところだが、実際はどうなのだろう。
冒頭で紹介した金融機関のロゴは赤(当時)だったが、行員の態度からは傲慢さしか感じられない。
企業体質が保守的過ぎるのだろう、自分たちが決めた枠組みから外れたものは一切認めず、あくまで顧客側が自分たちに合わせることを要求してきた。
当然チャレンジ精神を評価する土壌はないだろうから、余程確実な経営計画でなければ門前払いとなったことだろう。
実はこの銀行、合併後にロゴを緑に変更しているが、企業体質は全く変わっていなかった。(別件で酷い扱いを受けている)
どんなに企業理念を反映させたロゴマークを用いたところで、そこで働く人々の意識(企業体質)が変わらなければ無意味なのだ。
それ故、企業ロゴに込められた色のメッセージを鵜呑みにするのは非常に危険だ。
あくまで話のネタとして読み流すのが正しい楽しみ方だと思う。